片岡タイムズ

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GSL編集部、UPSETでの活動記録

MIT Sloanスポーツアナリティクス・カンファレンス(MIT SSAC) 2017

【MIT Sloanスポーツアナリティクス・カンファレンス(MIT SSAC) 2017】

 

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昨今、日本のバスケットボール界でもスタッツ解析などの手法が注目されている。各プロチームでも、アナリスト、テクニカルスタッフなどの役職が登場するようになった。

 

そんな中、ボストンでは、統計の領域からスポーツの様々な領域(ゲームの評価・分析、選手の評価、戦術、チケットセールス、選手の健康管理など)に関する大規模なカンファレンス”MIT SSAC (Sloan Sports Analytics Conference”が開催されている。11年目を迎え、今年の参加者は3500人近くに及んだという。

 

MIT Sloanスポーツアナリティクス・カンファレンス
http://www.sloansportsconference.com/current/

 

 

上記HPよりパネルディスカッションや、スピーチの概要などを見る事が出来る。バスケットボールの話題も非常に多い。NBAコミッショナーであるアダム・シルバー氏や、Basketball on Paperの著者としても知られるディーン・オリバー氏、女子バスケ界のレジェンドであるスー・バード、GSL編集部の佐良土氏も愛してやまない(DUKEファン)のシェーン・バティエ、ゴールデンステイトウォーリアーズのGMとして素晴らしい成功を収めているボブ・マイヤー氏なども登場。また、ユニフォームスポンサーの導入で話題になった76ersからは、ビジネス部門の担当者が登場し、事業戦略などのスピーチもあった様子。
(末尾、バスケット関係の項目などを抜き出してリストを制作)

 

 

日本でも、スポーツビジネスに関わる方々が渡米をして参加した模様。先日、その参加者でもある株式会社ユーフォリアの橋口寛さん、宮田誠さんによる報告会が開催され、GSL編集部(株式会社アップセット所属)の片岡も参加した。

 

 

株式会社ユーフォリア様は、ラグビー日本代表の体調管理クラウド「ONE TAP SPORTS(ワンタップ・スポーツ)」などの開発なども行っている。その為、今回の報告会は選手のパフォーマンス管理や、評価方法などの領域が中心となるが、非常に興味深い内容が並んでいた。

 

 

<報告会で取り上げられたトピックス(1部)>

①Avoiding Tommy John: How the MLB has used Better Data and Training Methods to Reduce Elbow Injuries
トミー・ジョン(肘の手術)を避けるための研究。故障の原因を膨大なデータから分析。その結果をもとに、年齢に応じた投球制限の指標や、ガイドラインなどを発表。このデータに基づいて投球制限などを決定している連盟などもある模様。

 

②The Science of Sleep

睡眠時間と、パフォーマンスの関係の分析結果の報告。スタンフォード大学バスケットボール部を対象とし、睡眠時間がパフォーマンスに与える結果なども登場。競技レベルが高くなればなるだけ必要となる時差への対応についても、科学的なデータをベースとして戦略の提案なども。

 

③Moving the Kickoff: How Data Around Concussions Led to a Rules Change in the Ivy League

脳震盪のリスクを下げるためのルール改定の提案や、その導入事例などの紹介。アメリカンフットボールの競技特性をなるべく失わないままに、学生にとっての選手生命だけではなく人生にも大きな影響を与えかねない脳震盪のリスクを減らすための取り組み事例の報告。

 

④NHLのマーケティング戦略について
四大スポーツの一つであるNHLが、リーグのマーケティング戦略の中で、何を、どのように戦略的に取り組んで成果を上げているかの報告。

 

 

などなど。

 

 

MIT SSACそのものも、競技や研究領域を超えて、異なるバックグラウンドを持つ方々が集い、コミュニケーションをする事が開催の目的であるともいう。日本で開催された報告会も、競技、業種、研究領域を超えて、様々な方々が集った。報告会終了後に設けられた懇親会でも、非常に活発な議論が交わされていた。主催者の株式会社ユーフォリア様としても、MITSSACを題材として、様々な交流を促進するのが目的の一つだという。

 

 

過去の項目については動画なども公開されている。もし、来年度の参加に興味のある人がいれば、上記サイトなどで情報をチェックしておくと非常に有益だと思われます!!

 

 

<MIT SSAC内でのバスケット関係の項目メモ>

NBAコミッショナーであるアダム・シルバーとのトークセッション
NCAAのスポーツビジネスの機会を最大化する方法について
NBAの新しい労使協定、TV放送との契約について
76ersの新しいビジネス(ユニフォーム契約など)について
NBAが様々な事業構造を決定する際に、統計データをどのように活用しているか
統計データを活用した、プレイヤーの評価システムの活用。
代理人による、選手とチームの契約交渉について
パフォーマンスを維持する方法(Sustaining Greatness)

・・・などなど(多数!!!

 

 

MIT Sloanスポーツアナリティクス・カンファレンス(MIT SSAC) 2017 報告会イベントページ
https://www.facebook.com/events/1416719928390043/

 

 

(投稿者:GSL編集部/株式会社アップセット 片岡秀一)

【Daveコーチが再来日。勝利?育成?】

 

 

2016年も来日したDave Taylor氏が今月末に再来日します。

詳細は下記(UPSET内のページ)

TOKYO SKILL CAMP 2017
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1245478005529366&id=242505029160007

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1242656369144863&id=242505029160007

昨年は、ERUTLUCさん主催、共催、GSL開催協力などで、クリニック、指導者勉強会、指導者講習会を実施。

自身の価値観を述べたコラム『勝利 vs 育成!』での主張を体現する基本を重視したクリニック、ジョン・ウッデン氏と共に過ごす中で学んだ事、アメリカの育成環境(主にAAU)に対する警鐘を鳴らす根拠が説明された指導者勉強会、NBANCAAの中での注目コーチや、Dave氏の指導理念についての深い部分までお話を伺えた指導者懇親会など、数多くのコーチにご参加頂きました。

今回の来日時の活動については、講師スケジュールと共に調整中ですい。動きがありましたらGSLでもアナウンスします!

<参考>

ERUTLUCさんレポート記事
(アメリカ育成の光と闇、ジョン・ウッデン氏から学んだこと)
http://www.basketballtutor.com/news/5704#.WMJIATuLQ2w
http://www.basketballtutor.com/news/5724#.WMJIFzuLQ2w

<再掲載>

Daveコーチのコラム

『勝利 vs 育成!』


育成することと試合に勝つことのどちらが大事かというのは、青少年・少女スポーツ界ではよく議論になるポイントだ。

少年バスケにはもう何年も関わってきているが、どんなに若い年齢層でもやはり起きる状況は同じだ。私はこれを「勝利シナリオ」と呼んでいる。例とした11Uの層を取り上げてみよう。

もしコーチとして私ができるだけ勝利を挙げたいと思っているのであれば、最も得点能力に長けた選手と最も身体能力の優れた選手を同時に起用する。当然ベストプレイヤーは優れた選手なのでボールをもらう度に得点し、身体能力の優れた選手はスキルではなくその身体能力で相手を圧倒できる。1試合平均10、11回くらいは見られる光景で、チームはほとんどの試合を勝利することができるだろう。

では「育成シナリオ」を見てみよう。

同じ選手が同じポジションでプレイしているが、単純に一番上手い選手を1、2人起用してとにかくアタックして得点するんだと伝えるのではなく、ボールをコントロールしろ、オフェンスを作れ、ディフェンスをしろ、基礎をしっかりやれと伝え、全力プレイをしない子はベンチに下げる。このシナリオでは私のチームは沢山の試合を落とすことになるだろう。では子供達にとってはどちらにシナリオをベストなのだろうか。


勝利シナリオ:この戦略は9U、U9、10U、11U、12Uレベルの選手には有効だ。13Uに達すると、バスケットボールのプレイの仕方をしっかりと学べていないため手こずり始める。身体能力を生かして相手を圧倒するという事しか学べていないからだ。13U以降のレベルでは、パスやスペースを生み出すことが出来るチーム相手に終始振り回され負けてしまうことがほとんどだろう。


育成シナリオ:この戦略はそれに適した文化をうまく作り出せているクラブでしか使えない。親と子供に育成するというプランをしっかりとその組織とコーチ個人が伝え、説明している必要がある。チームが負け続けながらも育成というシステムに子供たちがちゃんと付いてきてくれるにできるかがチャレンジだ。数年経てば多くの試合に勝てるようコーチはしてくれているのだと親を説得するのに必要なことは何か。コミュニケーションだ!

育成シナリオを導入するにはコミュニケーションが必須だ。

まず第一に、コーチング・ディレクターが話してることは正しいんだと思わせてくれるような経歴が必要だ。次に、育成モデルが機能しているという記録が多少あるべきだ。すべてのケースでこれが可能でない事は理解している。となると、コーチング・ディレクターとコーチ個人は何度も何度も彼らの方針をコミュニケートし続ける必要がある。クラブが育成する方針に入った以上、コーチたちはより競争性を増したいという気持ちに引き込まれたりぶれたりしては絶対にいけない。敷いた道をしっかりと辿り、育成モデルを機能
させることに集中することが大切だ。

子供達にとってベストなアプローチはどちらか。個人的には常に育成シナリオを選択するが、このプランを最後まで全うできるコーチ、ディレクター、クラブは少ない。我々は生まれつき競争心が高いところがあるため、多くの人が辛抱強く育成に集中するのが難しいというのは驚きではない。


あなたはできるか?


<翻訳協力>

Bulls fan in japan http://bfij.net/ 
B ball Tube http://bballtube.net

 


WINNING VS DEVELOPMENT!


An often-debated topic in youth sports is whether it is more important to develop talent or win games.A common situation that I have experienced in my many years of being involved in youth
basketball happens at the youngest ages of the game. We will call this "The Winning Scenario."

Let's take the 11U age group as an example. As a coach if I want to win most games, I put the player that can score the best and the best athlete on the floor at the same time. Obviously, the best player
will get the ball and score every time simply because they are a better athlete and the best athlete just dominates based on athletic ability, not skill. This may happen ten or eleven times per game,
and the team will win most of the time.

Now let's look at "The Development Scenario." I have the same players lined up in the same positions,
but instead of coaching the best player or two to just attack and score, I tell them to control the ball run an offense and PLAY DEFENSE and play with fundamentals and sit the child when he does not give maximum effort. With this scenario my team loses most of their games. But which scenario is best for kids?

The Winning Scenario: This strategy will work for players at 9U, U9, 10U, 11U and 12U. When they reach 13U, they will struggle because these players will not have learned how to play the game of basketball.

They will have simply learned to out athleticize and run fast, getting by on their athleticism alone. After 13U, when they come up against teams that have learned to pass and create space, they will end up chasing the game the entire time and most often lose.

The Development Scenario: This strategy only works if the club has created the right culture. What this means is that the Director of Coaching and individual coaches have clearly communicated the plan for development to parents and kids. The challenge is to get players to stay with the development scenario even when the team
loses most games. What does it take to convince parents that a coach is doing the right things and that in a few years the team will win the large majority of games—communication!


Communication is critical to implementing the Development Scenario. First, the Director of Coaching must have the credentials that show that he or she knows what he or she is talking about. Second, there should be some record of the development model working. Now I understand that this is not possible in all cases, which means that the Director of Coaching and individual coaches must communicate their ideas repeatedly.

Once a club decides to coach for development, coaches must not waiver and get sucked into trying to be more competitive.
It is important to stay the course and let the development model work.

So which approach is best for kids? Personally, I always opt for The Development Scenario, but as I mentioned in the beginning of this post, very few coaches, directors, and clubs actually stay true to this plan. We are all naturally extremely competitive so it really is no surprise that people have trouble sticking to it.

Can you?

 

 

皇后杯、JXが優勝!

皇后杯、JXが優勝!
4年連続21回目。
JX 91-67 富士通

献身的な間宮選手、オールラウンドな渡嘉敷選手のコンビからなる強力なインサイド陣は相変わらずに、FT後のスリークォーターのプレスディフェンス、リスクを覚悟の超前掛かりな強めのプレス、ハーフラインを超えた際のトラップ、マンツーマンプレスとディフェンスのバリエーションンを増やされていたのが印象的。

アカツキファイブとの相関性も感じさせる流動的なオフェンス、藤岡選手に代表される若手の台頭と、さらにバージョンアップ。非常に強かった。

JBA動画の記者会見での吉田主将、トムHCのコメントも印象的。新しいことへのチャレンジには、選手の知的好奇心、探求心、挑戦することの楽しさを刺激する狙いもあったのか、と何となく連想。トムHCの穏やかな笑顔や流暢な日本語も非常に素敵だった。

「優勝してホッとした、という言葉が、率直な意見を聞かれた際の選手のコメントで出ることが多い。『それは良くない。優勝して嬉しい、そういう気持ちに変えることが僕のゴールだ』とトムHCが言ってくれた。選手も、最初は「勝ちたい、優勝したい」という気持ちでスタートしたが、何処かで必要以上にプレッシャーを感じていた。トムの言葉もあり、プレーを楽しむ事が出来た」(JX吉田主将コメント)

富士通は本当に力のある危ないチーム。2年前、23点差を追いつかれ、延長で負けたことがある。そのイメージがあった。最後まで、最後まで、と何回も言った。ウチの選手は負けたくない、じゃなくて勝ちたい、という気持ちが本当に強い。「20年前、ヒューストンロケッツのHCが『Heart of Chamion』と言っていた・僕もそういう考えがある。が、ここにいる選手(吉田、渡嘉敷、宮澤選手)だけではなく、皆が『Heart of Chamion』を持っている。」(JXトム・ホーバスHCコメント)

※※質問※※
20年前、ヒューストンロケッツのHC、×▽■×▽▽☼が、『Heart of Chamion』と言っていた、、、の×▽■×▽▽☼の部分が聞き取れず。何と言われていたんでしょうか??

バスケット・カウント誌の記事(http://basket-count.com/article/detail/1573)よりコメント引用。

富士通の小滝HC「JXは去年よりも強くなっている。ただ、背中は遠いけど追えない背中ではないと思っています。今日は完敗かもしれないけど、私は自信を持って選手たちをコートに送り出している。絶対に倒せると思っています」

また、リーグ戦、プレーオフと続く戦いが楽しみ。
JXファンの皆様、おめでとうございました!