片岡タイムズ

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GSL編集部、UPSETでの活動記録

『玉座を狙う男』スコッティ・ピッペン、『玉座に座った王』マイケル・ジョーダン

【『玉座を狙う男』スコッティ・ピッペン、『玉座に座った王』マイケル・ジョーダン

 

以前に投稿した通り、GSL編集部の佐良土が翻訳を務めた書籍『』が販売中です。また、同じくGSL編集部の片岡(株式会社アップセット所属)の書評がNBA.comに掲載中です。

 

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[書評]『マイケル・ジョーダン ~父さん。僕の人生をどう思う?~』――読者の闘争本能を焚き付ける刺激に満ちた一冊(片岡秀一)
http://www.nba.co.jp/…/book-revi…/1bbniftigyjg31imj7v8i1nowg

 

ここでは、NBA.com内には文字数の関係で紹介できなかった印象的なエピソードを紹介します。シカゴ・ブルズのHCとなったフィル・ジャクソンの最初のトレーニングキャンプでの出来事であり、アシスタント・コーチのバックの証言を基にしています。

 

 

私の考える本書籍の魅力は、マイケル・ジョーダンを取り巻く豊富なエピソードや関係者の悪戦苦闘や工夫を垣間見れる部分です。これは本当に一例で、非常に730ページの中に様々な逸話が詰まってます!!

 

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マイケル・ジョーダン ~父さん。僕の人生をどう思う?~』より。CAPTER22(P.390周辺)「トランジション」よりエピソードの抜き出し。ジョニー・バックのコメントは原文のまま。

 

 

◇私はいつもスコッティを『玉座を狙う男がいる』と言い、マイケルを『玉座に座った王』と言っていた。

 

シカゴ・ブルズのヘッドコーチに就任したフィル・ジャクソン。最初のトレーニングキャンプでは何よりもディフェンスを重視したプログラムを組んだ。それは、ニューヨーク・ニックス時代の自身のプレースタイルにも起因する。コートの端から端まで走り続ける選手だった。

 

「フィルの最初のトレーニングキャンプは一番きつかった。練習はディフェンス志向で、何をしてもまずディフェンス側からスタートして、オフェンス側に動いていくんだ。フィルは基本的に僕たちをプレッシャー型のチームにしようとしていたんだ。ディフェンシブなチーム。それがフィルの知る勝利への道だったんだ」とはジョン・パクソンの言葉。

 

フィル・ジャクソンは、ブルズでフルコートのプレッシャーディフェンスをしようとしていたと本人も語っている。その中で、競り合いによる集中力が必要だった。その中で着目したのがジョーダンとピッペンの関係。ピッペンは入団当初からジョーダンと競わされていたが、フィル・ジャクソンは、その優先度を高めた。

 

アシスタント・コーチのジョニー・バックの証言を引用。

 

「フィルがコーチを引き継いだことで、マイケルとスコッティ、それから正しい選手が正しく混じりあっているように感じた。厳しい競争だった。マイケルは毎日スコッティの前に立ちはだかった。フィルはスコッティをベストチームに、マイケルをレギュラーではないチームに入れて戦わせることを何度もやったんだ。熾烈な戦いだった。フィルは、あからさまではなく、静かに実行しようとしていた。大抵で10本選手のゲームで、負けるとダッシュなどのちょっとした罰ゲームがあった。マイケルが1ゲームでも落とそうとものなら、彼は「もう一回やろう」と言うだろう。それで我々は10本選手のゲームをもう1回やる事になる。多分それは、完全にフィルの思惑通りだったんだろう。だけど、彼はいつもこんな風に答えるんだ。「そうだな、、どうだろうか。やれるかどうかわからないが・・・・よし、そうだな。やりたいっていうならいいだろう」とね。」

 

 

続いて、2004年に行われた別のインタビューでのバックによる当時の述懐。

 

「ああやって競わせる戦力は見事だったよ。私はいつもスコッティを『玉座を狙う男がいる』と言い、マイケルを『玉座に座った王』と言っていた。スコッティは、ああいう風に万で良かったと思うよ。来る日も来る日も激しくプレーしていたんだ。フロアのトップでのプレー、ボールを運ぶプレー、長く伸ばした腕を使って相手をディフェンスで苦しめる事。スコッティはマイケルと同じような、どこか喜びに満ちたような表情をしていたよ。競争を楽しんでいたんだ」

 

ピッペンは凄く成長した。毎日マイケルとプレーしなければならなくなったんだ。誰にとっても頭が痛い話だ。練習は当時凄い緊張感だったよ」

 

マイケル・ジョーダン 父さん。僕の人生をどう思う?』
http://www.toho-pub.net/product_info.php?products_id=809

 

<参考>
シカゴ・ブルズを支えた名コーチ ジョニー・バックさんについての宮地陽子さんの追悼記事。

http://www.nba.co.jp/…/yoko-miyaj…/cmmrm2o19zl51nb3gha01ekvt

 

(記事投稿者:株式会社アップセット/GSL編集部 片岡秀一)